仮想通貨に限らず、相場は上昇したり下落したりします。そして、私たちがステーキングやファーミングを始めるにあたって、利率の大きさだけでなく価格上昇にも期待しています。
では、期待に反して価格が下落・暴落したらどうしましょうか…これを考えます。
価格が上昇する場合
本題に入る前に、仮想通貨価格が上昇する場合について考えます。
価格が上昇するなら何の問題もないかもしれませんが、放置して良いというわけではありません。なぜなら、価格はどこかで暴落するかもしれないからです。
そこで、もっと上昇するかも?という期待を抱きつつも、安全策を考える必要があります。
投資方針の例
- 資産価値が2倍になったら、半分売却して残り半分で投資継続
- 毎月、利益の一部を現金化する
- 売却せず、どこまでも投資継続 など
一番上の方針は、安全重視です。
資産価値が2倍になったら半分売るということは、投入した自己資金を現金で回収するということです。すると、残り半分が大暴落して無価値になっても、合計で損しません(価格が上昇すれば、もちろん儲かります)。
すなわち、相場がどうなっても決して損しないという完璧な投資の完成です。
上から2番目の方法も有力です。資産価値が2倍になる前から、安全な場所に資産を少しずつ移動していきます。
価格が下落・暴落する場合
では、本題です。自分が投資しているステーキングやファーミングの価格が下落するという場合、2種類の考察が必要になるでしょう。
すなわち、ビットコインやイーサリアムなどは好調なのに、自分が投資しているDeFiは暴落しているという場合が一つ。もう一つは、ビットコインなど含めて相場全体が下落している場合です。
相場全体は好調だが自分の投資先が下落している場合
これはマズい状態です。相場全体が上昇する時、あらゆる仮想通貨が上昇しているのでは?と錯覚してしまうくらいに上昇します。これが株式と違うところ。そんな状態なのに、自分が投資している案件は逆行しているのです。
この場合、損切りして逃げるという選択肢がまず思いつきます。
なぜなら、相場全体が好調な時に下落するような投資対象ですから、相場全体が下落に転じたら大変なことになる!と容易に想像できるからです。
状態があまりにひどい場合、開発チームがやる気をなくして放棄してしまい、文字通り無価値になってしまう可能性さえあります(そのようなDeFiプロジェクトは数多くあるので、簡単に見つかります)。
それでもその投資対象に留まる価値がある!と判断できるかもしれない例を、いくつか考察してみます。
コミュニティが活発
ツイッターのフォロワー数が多く、テレグラムでもユーザーの意見交換が活発で、開発チームも熱心に情報公開していて、ロードマップに沿って開発が順調に進んでいる…このような場合、そのプロジェクトに留まる価値があるかもしれません。
そのようなプロジェクトの場合でも、価格が下落する可能性はあります。
例えば、多くのコアなユーザーがそのプロジェクトに熱心な一方、儲かれば何でもOK!というユーザーも多数に上ります。一時的な価格の下落を見て、儲かればOK!なユーザーが売って逃げてしまい、売りが売りを呼んでいる可能性があります。
この場合、しばらくすれば価格が落ち着く可能性があり、その後はプロジェクトの内容に惹かれた人々が徐々に集まってきて価格が上昇する…というのが、楽観的なシナリオです。
インサイダー
これに該当する可能性はとても小さいかもしれません。自分は開発チームが誰なのかを知っていて、彼らから別途情報をもらっているという場合です。
この場合、一般のユーザーよりも深い情報をもらって考えられますので、将来性があると見込んだらホールド継続です。深い情報をもらってもダメだこりゃ…な場合は、あきらめて撤退です。
相場全体が下落している場合
どれだけ素晴らしいプロジェクトでも、ビットコインやイーサリアムを始めとした主要な仮想通貨が下落過程にある場合、どうしても引きずられて下落しやすくなります。
これは株式市場でも見られる現象であり、仕方ないとあきらめて、ビットコイン価格が再度上昇する時まで待ちます。
なお、一般的に、ビットコイン等の下落率に比べて、草コインに近くなればなるほど下落率が大きくなる傾向があります。よって、下落率の大きさを比較することにより、自分の投資先が一般の人々からどのように認識されているのかが予想できます(下は評価の例)。
- 他のマイナーコインに比べて下落率がおとなしいから、評価は高いようだ。
- 他のマイナーコインと同じくらいの下落率だから、まあそんなもんだろう。
では、ビットコイン等の下落に引っ張られているだけでプロジェクト自体は優秀だと判断した場合、そのまま放置で良いでしょうか。考察します。
ステーキングの場合
年率100%でステーキングしていて、価格が下落するとしましょう。すると、価格下落を受けてステーキング停止&売却するユーザーが大勢出てくると予想できます。
この場合、トークン排出量は一定でステーキング参加者は減る…すなわち、利率は年率100%でなく、どんどん大きくなっていくはずです。
(DEX取引量によってトークン排出量が変化する場合は、利率は取引量次第ですが、ステーキング参加者が減れば利率が高くなりやすいのは同じです。)
このため、今は下落だけれど将来は復活すると考える場合、価格下落局面は悪い事ばかりというわけではありません。将来の大きな利食いに向けて、たくさんのトークンを集めるチャンスとなります。
なお、価格維持に向けて、開発チームがトークン排出量を絞る可能性もあります。価格維持や反発に向けて開発チームがどのような施策を取るか、ツイッター等でのチェックが欠かせません。
ちなみに、仮に価格が回復しないとしても、ステーキング利率が高いなら価格下落は意外に怖くないかもしれません。なぜなら、放置していても保有数量がどんどん増えて、価格下落をカバーしてくれるからです(下は例)。
ある仮想通貨を単価10円で100単位買い、年率100%でステーキングした(投入金額は1,000円)。結果、保有数量は1年後に200単位となったが、価格は半分に下落してしまった。
- 保有数量:200単位
- 価格:5円
- 評価額:1,000円(開始時と同じ)
利率が大きいので、価格が下落しても損しない。
よって、価格が下落するとしても、ステーキング利率の大きさよりも小さいなら問題なしということになります。
ファーミングの場合
ファーミングの場合も、ステーキングと似たようなことが言えますが、ファーミングの場合は2種類の仮想通貨の組み合わせであるというのが注意点です。
パターン1
- ガバナンストークン(自分が推している仮想通貨)
- 草コイン
例えば、上のように2つの仮想通貨のうちの一方が草コインで、相場下落によってほとんどのユーザーが草コインから逃げてしまったとしましょう。
この場合、自分が投資しているプロジェクトのガバナンストークンは無事なのに、もう一方の草コインのおかげで大損になってしまう可能性があります。
悪くすると、インパーマネントロスの憂き目に遭ってしまうかもしれません。
パターン2
逆に、もう一方の仮想通貨が草コインでなくイーサリアムなど強い仮想通貨の場合、自分がメインで投資しているガバナンストークンが過度に売られて、イーサリアムに買いが集まってしまう可能性があります。
- ガバナンストークン(売られやすい)
- イーサリアム(買いが集まる)
この場合、インパーマネントロスにまで行かなくても、自分が投入していたイーサリアムが目減りしてしまいますので面白くないでしょう。
パターン3
そして、3つ目のパターンが、最も安定していると言えそうです。
- ガバナンストークン
- 人気度が同じくらいのトークン
この場合、買われるときは両方とも同程度に買われ、売られるときも同程度に売られると期待できます。
すると、インパーマネントロスを心配せず、高い利率で報酬をもらい続けることができますので、相場全体が再び上昇するのを待って大きな収入を狙うことが可能です。
以上、3つのパターンを大まかに考えましたが、相場は千変万化しますので、いつもこの通りだというわけにはいかないでしょう。そこで、相場下落時は特に、大局観を持ちつつ価格動向にも注意を払います。
まとめ
以上、相場が下落・暴落する場合の方針について考察しました。
結果、管理のしやすさという点でいえば、ファーミングよりもステーキングの方が分かりやすいです。ステーキングなら、自分が投資している対象1つだけチェックすれば良いからです。
その一方、ファーミングになると2種類ですから、難易度が高くなります(その分、利率はステーキングよりも高いのが一般的です)。
とはいえ、DeFiプロジェクトへの投資は利率がとても高いのがメリットです。価格が下落しても、得られる利率の範囲内なら問題ありません。これはとても魅力的です。
そして、こういった考察は価格下落が現実になる前にするのが望ましいです。価格が下落してから考えると、どうしても損したくないという感情が前に出てきますので、冷静な判断が難しくなるからです。