DeFiという言葉があちこちで使われるようになりましたが、どんな種類のサービスがあるかについては、ぼんやりしているかもしれません。
そこで、その内容を確認しましょう!
Contents
DeFiとは。そのサービスの種類
一つずつ見ていく前に、DeFiとは何か?を先に確認します。
DeFiとは
Decentralized Financeの略称で、ブロックチェーン上で全ての手続きが実行されて完了する金融サービス全般を指します。
すなわち、証券会社や銀行がなくてもブロックチェーン上で全ての金融取引が実行され、しかもその内容はブロックチェーン上で公開されているので後から検証可能というシステムです。
このシステム上で稼働しているサービス(アプリ)の種類を、簡潔に見ていきましょう。
DEX(分散取引所)
DEXとは、ブロックチェーン上の取引所です。よって、証券会社や銀行のような取引を仲介する機関が存在せず、注文が全て自動で執行されます。
CoinGeckoによると、この記事を書いた時点の24時間取引高は5.5兆円にもなり、これは仮想通貨市場全体で4.5%のシェアとなっています。
DEXが本格的に始まったのが2020年だという事実を踏まえると、取引高が急速に高まっている様子が分かります。なお、取引高上位のDEXは以下の通りです。
順位 | DEX | 24時間取引高 |
1 | Mdex | 1,139億円 |
2 | Uniswap(v3) | 665億円 |
3 | Mdex BSC | 519億円 |
4 | PancakeSwap(v2) | 470億円 |
5 | Uniswap(v2) | 429億円 |
なお、名称の後ろにある(v2)(v3)というのは、バージョンです。よって、Uniswapはバージョン2も3も上位に来ていて大変な勢いです。
また、THE BLOCKによると、DEXの取引高推移は以下の通りです。縦軸の単位はbすなわち10億ドルですから大変な数字です。
ちなみに、このグラフにはなぜかPancakeSwap(v2)が含まれておらず、実際の取引高よりも大幅に少なく表現されています。
現在のPancakeSwapはUniswap(棒グラフの朱色部分)と肩を並べる存在ですから、その分を加えたグラフを想像していただくと、DEX取引高がいかに大きくなっているかが良く分かります。
DEXの取引方法
では、DEXはどのような方式で取引されているか?ですが、多くの場合スワップ(swap)方式です。
スワップ方式とは、株式市場のように買い注文と売り注文が数多く並ぶ方式でなく、時価だけが表示され、ユーザーはその時価で売買します。
ここで、問題が生じます。時価が表示されていてユーザーがその価格で買いたいとしても、誰か売ってくれる人が必要です。誰も売ってくれなければ、時価が表示されていても意味がないだけでなく、紛らわしくて問題です。
イールドファーミングと流動性マイニングの違い
ここで活躍するのが、イールドファーミング(yield farming)です。
実際の用法を見ますと、イールドファーミングと流動性マイニング(liquidity mining)はほぼ同義語として使われることが珍しくなく、同じ意味と使用しても大きな問題はありません。
しかし、ここでは違いが分かるように考えます。
イールドファーミング
下は、DEXにおけるイールドファーミングの様子を描いたものです。
顧客はBNB/CAKEのトレードをDEXでしようとしていますが、DEXはその注文に応じるための仮想通貨を持っていません。そこで、投資家からBNBとCAKEの組み合わせで仮想通貨を借り、それを使って顧客の注文に応じます。
そして、トレードした顧客は手取引手数料をDEXに支払いますが、その大部分を投資家に報酬として分配します。
このように、市場に流動性(仮想通貨)を供給して、その見返りに報酬を受け取る行動をイールドファーミングと呼び、DEX運営に欠かせないものとなっています。
下のリンクは、イールドファーミングで稼ぐ仕組みについてご案内している記事です。
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DEX(分散取引所)で2つの仮想通貨を1組にして預けると、報酬として仮想通貨をもらえます。 これはファーミング(farming)と呼ばれ、利率がとても高いので人気を呼んでいますが、その仕組みとリスクを ...
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流動性マイニング
流動性マイニングはイールドファーミングと似ていますが、少し異なります。
- 流動性マイニングは、そのDeFiサービスに参加することにより、(他の報酬に加えて)ガバナンストークンの獲得を目指します。
そして、ガバナンストークンとは、特定のDeFiサービスで中心的な役割を果たしているトークン(仮想通貨)のことで、パンケーキスワップならばCAKEを指します。
このような区別はありますが、イールドファーミングと流動性マイニングの区別はあいまいです。
なぜなら、両方とも仮想通貨を稼ぐという意味で同じですし、仮想通貨を貸し出して報酬をもらう形式も(少なくとも表面的には)同じですし、結果としてもらうトークンの種類が異なるというだけだからです。
下のリンクは、ステーキング(=仮想通貨を預けることでガバナンストークンを受け取る)方法で稼ぐ仕組みについてご案内している記事です。
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DeFiのステーキングで稼ぐ仕組み
DeFiの醍醐味は、設定して放置するだけで年率数十%~100%超の収入を見込めることです。そこで、今回はステーキングで稼ぐ仕組みについて確認します。 ファーミングで稼ぐ仕組みについては、下のリンク先記 ...
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なお、このステーキングでは、ガバナンストークンを稼ぐこともできますし、その他の仮想通貨を稼ぐこともできます。
すなわち、流動性マイニングとイールドファーミングの境目はあいまいですし、ステーキングと流動性マイニングは、類義語になっています。
レンディング(Lending、貸付)
仮想通貨を貸すサービスがレンディングであり、これを使って仮想通貨を借りることもできます。
下はレンディングサービス「Venus」の画面ですが、貸出し総額は24億ドルで借入総額は9億ドルとなっており、大変な金額です。
最も借入が多いのはBNBで、1億8,300万ドル(545,000BNB)であり、支払金利は年11.32%です。
それに対し、貸出しは3億3,400万ドル(994,000BNB)と借入より多いので、報酬の金利は年5.27%となっていて借入金利よりも低くなっています。
アグリゲーター(aggregator)
DappRadarによると、DeFiサービスは既に1,000種類くらい存在しています。とはいえ、バージョンが違うと別サービスとカウントしていますので実数はもっと減りますが、近いうちに1,000を余裕で超えてくることでしょう。
すると、どのサービスでイールドファーミングや流動性マイニングをすれば最良なのか、よく分かりません。
全部のサービスでなく主要な3つ~5つくらいを調査対象にするとしても、仮想通貨の種類が多数なので、やはりチェックしきれません。そこで活躍するのが、アグリゲーター(aggregator=情報収集)と呼ばれるサービスです。
ここに登録しておくと、アグリゲーターがチェックしているDeFiサービスで最も有利な投資方法を自動で判断し、自分の資金を適切に振り分けてくれます。
すなわち、自分の目で日々チェックして考える必要はなく、全自動でやってくれるので楽です。CoinMarketCapによると、この記事を執筆した時点で最大手のアグリゲーターは1inchとなっています。
以上は、資金を貸して報酬を受け取るという方法でした。以下、それ以外の方法で稼ぐサービスについてご案内します。
レバレッジ取引
日本の取引所でもレバレッジ取引ができますが、DEXの世界でもできます。代表的なのはdYdXで、特徴は以下の通りです。
特徴1:Gas代不要
DEXは取引する際の手数料(Gas代)が気になる部分ですが、dYdXでは不要です。
特徴2:最大レバレッジ25倍
日本では2倍が最大ですが、dYdXでは25倍です。日本のFXと同じ最大レバレッジでありながら、ボラティリティはFXとは桁違いに激しいですから、痺れるトレードができます。
特徴3:豊富な取引可能通貨
この記事の執筆時点で取引可能な通貨ペアは、下の通りです。有名な仮想通貨を取引できるというわけではなく、イーサリアムの規格に準拠した仮想通貨から選ばれています。
- ETH/USD
- BTC/USD
- DOGE/USD
- DOT/USD
- LINK/USD
- UNI/USD
- SOL/USD
- AAVE/USD
- AVAX/USD
- SNX/USD
- SUSHI/USD
- YFI/USD
- UMA/USD
- CRV/USD
- 1INCH/USD
予測(Prediction)
Predicitionとは、近い将来の仮想通貨価格がスタート時価格よりも高いか安いかを予想して賭け、正解すればペイアウト(払い戻し)をもらえますが、不正解ならば賭けた金額すべてが没収されるものです。
日本のバイナリーオプションと似ていますが、日本の場合は、複数ある判定レートからお好みで1つ選んで賭けますので、この点が異なります(勝敗決定時のレートがあらかじめ決めた判例レートよりも上か下かを予想)。
下は、パンケーキスワップのPredicition画面です。パンケーキスワップでは、BNB/USDT価格を使用し、5分毎に申込を締め切って5分後に結果が分かります。
すなわち、5分毎に申込期限と結果発表が延々と繰り返されます。そして、予測を当てた人が払戻を受ける際に3%を手数料として徴収され、これはburnの原資となります。
クジ(Lottery)
クジ(Lottery)は、日本でいえばナンバーズ4やロト6をイメージすると簡単に分かります。
すなわち、あらかじめ自由に数字を選んでお金を投入し、その後に公開される数字と一致すれば当選という、分かりやすい仕組みです。
そして、ユーザーから見て、DeFiのクジと日本の宝くじで圧倒的に異なるのは、ユーザーが賭けた金額と払戻金額の比率です。
宝くじの場合、この比率は50%を下回ります。すなわち、ユーザーが100万円のお金を賭けた場合、運営者(胴元)が50万円以上をもらい、残りの額(50万円未満)を当選金としてユーザーで分け合います。
その一方、DeFiのクジの還元率はサービスによって異なりますが、パンケーキスワップの場合は80%となっています。
下は、比較用でユーザー払戻率を円グラフにしたものです。パンケーキスワップの方が払戻率が圧倒的に大きいことが分かります。
ちなみに、パンケーキスワップの場合、この20%はburnの原資となりますので胴元(開発者)の稼ぎではなく、かつ、burnによる発行総数の減少を通じてCAKEの希少価値が上昇しますので、ユーザーの利益になります。
以上の通り、クジは文字通り運頼みですから当たるかどうか不明ですが、還元率やburnの効果を考えると、DeFiの方が有利だと言えそうです。
まとめ
DeFiサービスの種類について、主なものを概観しました。
DeFiは2020年になって一気に広がった市場であり、これからも発展していくと予想できます。それに伴い、新しいサービスもさらに開発されることでしょう。
その全てを追っていくのは大変ですから、自分のお気に入りを見つけてそれを中心にして楽しむのが、疲れずに長期運用できるコツかもしれません。