仮想通貨を買うなら、将来性があるものにしたいです。しかし、将来性を客観的な数字で表示するのは難しく、しばしば主観に頼りがちになります。
そこで、過去の事実【チャート】を元にして、現時点で将来性があると言えるかどうかを考察します。
ちなみに、ここで検証する銘柄は主に「時価総額が大きい銘柄」「日本の取引所で新しく採用された銘柄」「スマートコントラクトを実装した銘柄」とします。
この検証方法は様々な仮想通貨に応用可能ですので、皆様も確認してみてください。
Contents
仮想通貨の将来性の判定方法
ここではビットコインのチャートを使って、個別銘柄の将来性を検証します(チャートはCoinMarketCapから引用)。
ビットコインのチャート【判定基準】
下は、2017年後半以降のビットコインのチャートを示しています。この特徴的な値動きを利用して、他の銘柄の将来性をチェックします。
価格Aは、2017年~2018年初めにかけて実現した高値です。バブルと表現されることもありましたが、こうして見るととても安く見えてしまいます。その理由ですが、価格Bが原因です。価格Aをはるかに超える高値を実現したためです。
その後、反落して価格Cになっていますが、価格Cは価格Bの半値付近にいます。
すなわち、以下の通りです。
- 条件1:価格Bは価格Aより高い(2倍以上)
- 条件2:価格Cは価格Bの半値付近で踏みとどまる、かつ価格Aより上
ある銘柄が条件1と2の両方を満たせば、「その銘柄はビットコインと同程度またはそれ以上の将来性があると、市場から認識されている」と表現可能です。
ビットコインほどの将来性がない、あるいはリスクが高い、と市場から評価されているならば、価格Bは価格Aより安いでしょうし、価格Cは価格Bよりもずっと安値に落ち込んでいると想定できます。
このデータは客観指標ですから、誰が見ても同じ結論になるというのがメリットです。
なお、ここで将来性が乏しいと判定されたとしても、それは現時点の市場がそう判断している、というだけにすぎません。このため、今後の発展を否定するものではありません。
では、主な仮想通貨をチェックしていきます。
イーサリアム(ETH)
ビットコインの次に来る仮想通貨と言えば、やはりイーサリアムでしょう。
- 条件1:〇
- 条件2:△~〇
さすがイーサリアム、という表現で良いでしょうか。価格Bの上昇率が急激で、ビットコインに匹敵します。
懸念点は、価格CとBを比較してやや下落が大きい点でしょうが、価格Aよりは高値で推移しています。よって、この程度は誤差の範囲と片づけることが可能です。
エイダ(ADA)
時価総額上位で推移し続けているエイダコインですが、なぜか国内取引所での取り扱いがありません。この銘柄の様子を確認しましょう。
- 条件1:〇
- 条件2:〇
エイダコインも良好な成績となりました。
価格Aと価格Cはどちらが高い?という状況ですが、目を凝らして比較しないと判定不能というレベルですから、条件を満たしているという判定で良いでしょう(実際に、条件を満たしています)。
ポルカドット(DOT)
次に、ポルカドットを見ていきましょう。登場したかと思いきや、一気に時価総額が上昇してトップ10に顔を出している銘柄です。
このため、2017年~2018年には存在せず、価格Aがありませんので、価格BとCで比較します。
- 条件2:×
価格BとCをざっくりと比較すると、価格は4分の1程度に下落しています。
純粋に価格だけで分析するならば、ポルカドットはビットコインに比べて将来性が高くない、またはリスクが高いとみなされている可能性があります。
「そんなことはない!ポルカドットは優秀だ!」と反論することも可能ですが、なぜ市場はこのような評価をしたのか?を考えることも必要です。
市場がポルカドットに対して懸念しているのは、どんな点でしょう?これを分析したうえで、その懸念は杞憂に終わるだろうと結論付けられれば、ポルカドットに対して強気の姿勢を維持できます。
この種の分析がないと、ポルカドットの保有は単なる賭けになってしまう可能性があり、それは投資とは異なるでしょう。
トロン(TRX)
次に確認するのは、トロンです。
イーサリアムやバイナンスコインほどではありませんが、トロンのプラットフォームを使ったDeFiサービスも増えてきました。
- 条件1:×
- 条件2:×
トロンの価格推移は芳しくありません。価格Aは24円台、価格Bは18円台、そして価格Cは6円くらいとなっており、価格上昇の勢いが乏しいだけでなく、下落も大きいことが分かります。
こうなってしまうのはトロン固有の問題なのか、それとも別に問題があるのか?ですが、次のテゾスを見ると予想できるかもしれません。
テゾス(XTZ)
トロンと並んで、テゾスも日本で売買できるようになりました。その値動きを確認しましょう。
- 条件1:×
- 条件2:×
価格Aよりも価格Bが安く、そして、価格Cは価格Bの半値を下回って推移しており、良好とは言えません。そして、この記事を上から順に読んでいただいている場合、あることに気付くでしょう。
それは、トロンとテゾスの値動きが極めてよく似ているという点です。
当ブログ筆者は、チャートを記事に張り付けていて「ん?トロンとテゾスで同じチャートを使ってしまったか?」と一瞬迷ってしまいました。それくらい形状が似ています。
ということは、トロンやテゾスがこのような価格推移になっている理由は個別銘柄にあるのではなく、「スマートコントラクト」にあるかもしれません。
二極分化の可能性
トロンやテゾスなどスマートコントラクトを実装したブロックチェーン上では、DeFiサービスを展開することができます。同様に、イーサリアム等でもDeFiサービスを作れます。
そのような「スマートコントラクトを実装した仮想通貨間で二極分化が進みつつある」可能性があります。
現時点で優勢となっている仮想通貨を2点挙げますと、1つはイーサリアム、そして2つ目はバイナンス・スマート・チェーン(BSC)とそのガバナンストークンであるバイナンスコイン(BNB)です。
価格推移を見ると、この上位グループにはエイダ(ADA)も入ってくるでしょう。ADAはこの記事を書いている時点でスマートコントラクトを実装していませんが、2021年中に実装する予定です。
その他の仮想通貨、すなわち、トロン、テゾス、EOS、NEARなど…は、似たようなチャート形状になっていて、条件1と2をともに満たしていません。
そして、上位グループ内で競争が激しくなると、2番手グループ以下の地位は怪しくなってきます。上位グループとの差が大きくなりすぎると、2番手グループ以下はとても厳しい状態になるかもしれません。
そのまま2番手グループの地位に甘んじるか、それとも1番手グループに割って入るか。開発チームやコミュニティの様子を見ながら、長期的な投資判断を考えたいです。
上位グループ
- イーサリアム
- バイナンスコイン(バイナス・スマート・チェーン)
- エイダ
2番手グループ
- ポルカドット
- トロン
- テゾス
- EOS
- NEAR など
オントロジー(ONT)
オントロジーもスマートコントラクトを実装していますので、価格推移を見れば上位グループか2番手かが良く分かります。
- 条件1:×
- 条件2:×
上のチャートの通り、オントロジーは2番手だと分かります。さらに、テゾスやトロンと比べると、価格Bは価格Aよりもずっと安く、価格Cは価格Bの半値を大きく下回り、4分の1くらいになっています。
オントロジーは、2番手グループの下位にいると想定できます。ここからの復活に期待。
まとめ
以上、6銘柄について確認しました。その結果、概ね条件を満たしている場合と、条件を2つとも満たしていないという2つに分けることができるようです。
そして、条件を満たしている場合は、将来性について自信を持って考えることができます。
一方、満たしていない場合は、その理由を考え、開発チームはその懸念を払しょくできるかどうかを考えて投資判断に役立てることができます。