2022年2月、BiswapのGameFi【Squid NFT World】のルール変更が決まりました。
変更理由は開発チームから明示されていませんが、BSWの価格低下とともにゲーム報酬としてユーザーに提供されるBSWが大きくなりすぎてしまい、それがさらにBSW価格を下げてしまうという悪循環を断つためだと予想できます。
ということは、このゲームは以前よりも簡単には儲からないようになったということですが、では、どれくらい儲かるでしょうか。あるいは、儲からないでしょうか。試算しました。
開発チームの試算
最初に、Biswap開発チームが公開した試算を確認しましょう。単位はBSWです。
ゲーム | cotract | 手数料 | 月間収益 | 月間純益 | APR |
1 | 71.25 | 14.00 | 101.32 | 16.07 | 226.16% |
2 | 142.5 | 14.00 | 188.10 | 31.60 | 242.31% |
3 | 213.75 | 14.00 | 275.40 | 47.65 | 251.08% |
4 | 285.00 | 14.00 | 363.69 | 64.69 | 259.61% |
5 | 356.25 | 14.00 | 454.33 | 84.08 | 272.50% |
6 | 427.5 | 14.00 | 547.06 | 105.56 | 286.92% |
7 | 498.75 | 14.00 | 640.58 | 127.83 | 299.17% |
表の各項目の意味は、下の通りです。
ゲーム:
ゲームは全部で7段階あり、1は必要なSE(Squid Energy)が少なく、逆に7は多いです。
contract:
ゲーム代金です。ここでは、30日分を購入したと仮定しています。
手数料:
ブロックチェーンに書き込むために必要な手数料です。事前に金額を確定できませんので、おおよその値でしょう。
月間収益:
48時間に1回遊べて勝率は93%~99%まで幅がありますが、それらを加味した月間の収益見込みです。
月間純益:
1か月間に得られる純利益です。月間収益からcontractと手数料を引いた値です。
APR:
1年間当たりの利益率です。
開発チームが出した試算を眺めると、ゲームレベル1~7のどれをやってもAPR(年間利益率)が200%以上になるという大盤振る舞いですが、この数字を鵜呑みにしてはいけません。重要な項目が抜けていますので、本当の数字を確認しましょう。
抜けている重要な項目は、下の2点です。
その1:プレイヤーとバスの代金
プレイヤーとバスはマーケットプレイスで投げ売りされている安いものを買えば良いですが、新規にゲームを始める際には必ずミント(製造)しなければならず、その代金はプレイヤーもバスも30ドルです。
よって、ミント代金の合計60ドルとマーケットプレイスでの購入代金をコストに加える必要があります。
ゲームレベル1で試算
では、新試算でゲームレベル1で遊ぶ場合を確認しましょう。
この記事を書いている時点で1BSW=0.45ドルくらいですので、60ドルは133BSWくらいになります。そして、ゲームレベル1で遊ぶにはSEが1,000必要ですが、最初にミントしたプレイヤーのSEはいくらなのか、事前に分かりません。
ここではハズレのレベル1プレイヤーが当たったとして、SEを1,000にするために追加でレベル1プレイヤーを2体買うとします。投げ売り状態のものを2体で仮に47BSWで買うとして、ミント代金と合わせるとコストは合計で180BSWとなります。
さらに、バスもハズレのレベル1が当たってしまったとして、プレイヤー3人を搭載するために必要なバスを安く買うとして、20BSW支払うとします。上の表と併せて考えますと、コストは以下の通りになります。
- バス・プレイヤー:200 BSW
- contract:71.25 BSW
- 手数料:14.00 BSW
- コスト合計:285.25 BSW
そして月間収益は101.32BSWですから、ゲームを始めた最初の月は△183.93 BSWの赤字です。では、何か月目に黒字転換するかについても試算しましょう。
2か月目はバスとプレイヤーを購入する必要がありませんので、購入費は無料で、その他は1か月目と同じになります。
- バス・プレイヤー:0 BSW
- contract:71.25 BSW
- 手数料:14.00 BSW
- コスト合計:85.25 BSW
そして月間収益は101.32BSWですから、2か月目の収益は+16.07BSWです。このプラスを毎月繰り返して、初月に計上した赤字△183.93BSWの埋め合わせをしますと、合計でプラスに転じるにはおよそ1年必要という結果になります。
試算結果
最初のミントでハズレとなり、レベル1で頑張るという場合、損益をプラスにするには1年間必要である。
試算結果の考察
この数字を見て「初期投入額の回収に1年もかかるのでは、やる価値がない」と感じるかもしれませんが、そんなに悪い数字ではありません。なぜなら、この試算は、最初のミントでバスもプレイヤーもハズレのレベル1を引いたという前提だからです。
レベル1をミントしてしまう確率は50%ですので、バスもプレイヤーもレベル1を引いてしまう確率は25%であり、残り75%はレベル2以上を引けるということです。
そして、レベル2以上ということは、バスならプレイヤーを複数人搭載できますし、プレイヤーなら大きなSEを持っていることになりますので、有利にゲームを進めることができます。
なお、SEがやや少なくて不満だという場合は、DEXで取引してSEを追加してあげれば良いので、実際にはもっと短期間で初期コストを回収できるでしょう。
さらに、「最も悪い状態の試算でも1年間頑張れば黒字にできる」ということですから、どんなに不運な人でも継続すれば儲かるというゲームです。悪くない条件だといえます。
その2:contractと収入の関係
もう一つの注意点は、contractと収入の関係です。contractはゲーム代金ですが、これは1SE=0.0025BSWと決まっています。よって、1,000SEのプレイヤーの場合、1か月間のcontractは1,000SE×0.0025BSW×30日×0.95(割引)=71.25BSWとなります(さらに、手数料で14.00BSWが必要)。
ここで、不注意の結果、手持ちプレーヤーの合計SEが1,900だったとしましょう。この場合、1か月間のcontractは135.375BSWとなります。そして、SEが1,900ということはゲーム1で遊べるということですから、1か月の収入は101.32BSWとなり、合計で損してしまいます。
下のグラフは、SEと損益の関係です。手元のプレイヤーの合計SEが1,200を少し上回ると、合計の損益がマイナスに転落することを示しています。
よって、レベル1ゲームをする場合は、1,000以上で限りなく1,000に近いSEのプレイヤーを揃える必要があります。1,100くらいになってしまったら、2,000SEを目指した方が良さそうです。
まとめ
以上、Biswap公式の試算を元に損益を計算しました。Biswap公式の数字を鵜呑みにすることはできないという試算結果でしたが、適切に行動すれば運が全然なくても最終的に損益がプラスになることが分かります。
また、以前のバージョンではレベル1ゲームで儲けるのは無理でしたから、今回のルール変更で低レベルプレイヤーを揃えるユーザーにとっては有利になりました。
そこで、注意点で挙げた2点に気を付けつつ可能ならSEを上げてより良い条件でゲームをすると、1年でなくもっと早く損益を黒字化できると期待できそうです。
最後に、これは運頼みになりますが、下の2点も重要です。
- BSW価格がさらに下落しないこと。
- 開発チームがルール再変更を言い出さないこと。
BSW価格の推移はゲーム開始時のコストに影響します。BSW価格が上昇すれば儲けやすくなりますし、BSW価格が下落すると初期コストの回収が大変になります。